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第20話 恐怖の対象

作者: 酔夫人
last update publish date: 2026-05-29 11:00:09
「オーレリウス!」

ラーシュの怒声が謁見の間へ響いた。

その瞬間、空気そのものが震える。

目に見えない圧力が広間を支配し、息を吸うだけでも胸が苦しくなった。

サラリアは思わず顔を青ざめさせる。

「陛下、落ち着いてください。サラリア様はいま――」

「その名を気安く呼ぶな!」

ラーシュの声が遮る。

「サラを放せ!」

怒気を孕んだ低い声。

広間中の空気が張り詰める。

「……しかし」

オーレリウスがなおも言葉を続けようとした瞬間、威圧はさらに強くなった。

肌が粟立つ。

呼吸が浅くなる。

(怖い……)

サラリアは息を呑んだ。

オーレリウスほどの竜人でさえ顔色を悪くしている。

騎士たちも誰一人動けない。

ただ耐えることしかできない。

そんな中で、ラーシュだけが怒りを露わにしていた。

どうして。

何を怒っているの。

サラリアには理解できなかった。

だって、もう関係ない。

「下ろしてください」

サラリアは静かに言った。

オーレリウスが困ったように眉を寄せる。

「ですが……」

「大丈夫です」

サラリアは小さく首を振った。

「勘違いですから」

その一言で、広間の空気が止まった。

「……勘違い?」

オーレリ
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